おじさんの雑記帳 

「20世紀少年」の感想文そのほか 寺本匡俊 1960年生 東京在住

2014-01-01から1ヶ月間の記事一覧

Flowers for Algernon  (20世紀少年 第835回)

1990年代の中ごろ、東京での長時間にわたる通勤・帰宅の電車に辟易していた私は、往復の時間を利用してSFやハードボイルドを読んでいた。漫画やある種のグラビア付きの雑誌の方が気楽なのだが、いつどこでお客さんや同僚に見つかるか知れない。中間管理職と…

ねずみ考 (20世紀少年 第834回)

映画「20世紀少年」においてオッチョが旧山根邸の隣家の奥方から、ご本人さま確認の質問攻めに遭う場面がある。その中で「干支は?」と訊かれた彼は「イノシシ」と答えている。先日、十二支絡みのコメントもいただいたところですし、今日と次回は思いきり脱…

サダキヨの友達 (20世紀少年 第833回)

上巻の170ページ以降しばらく、ほぼ2ページ毎に場面が切り替わる。時代も場所もバラバラであるが、テーマや人物に共通点がある。最初の2ページは大学病院のソファで肩を落として座り込んでいるカンナだ。元気がない。 彼女が腰かけているところは、大きなド…

優秀な刑事 (20世紀少年 第832回)

上巻の162ページ。じいちゃんが残した貴重なメモの話を聞いた蝶野刑事は、ヤマさんおじちゃんに尋ねている。そのメモにこそ、”ともだち”にすりかわった人物の名前が書かれていたのですねと。しかしヤマさんは反応が無く、しばし間を置いた後で「俺がなぜここ…

チョーさんメモを読んでみる 【後半】 (20世紀少年 第831回)

前回の続きであります。最初の二行がサダキヨ関係であったのに対し、三行目はいきなり「”ともだち”は複数?」という次元の違う話に跳んでいる。サダキヨ関係の捜査をしている途中で、ヤマさんも羨むチョーさんの才能に何かが働きかけたようである。足を棒に…

チョーさんメモを読んでみる 【前半】 (20世紀少年 第830回)

はあー、やっとでここまで来たか。去年の後半の体調不良と多忙からだいぶ立ち直ってきたと思うけれど、それでも読み返すとまだ誤字脱字や勘違いが多い。なのに何故そんなにしてまで私は書くのか。 サルトルやニーチェは、原因があって結果があるのでも、動機…

私と共に宇宙になりましょう  (20世紀少年 第829回)

今日は余り愉快な箇所ではない。一回限りで片付けよう。年号を聞いただけで「ああ、あの年だ」とすぐにわかる年の数がだんだん増えてきた。個人的なものと、社会的なものがある。後者の代表として古くは1964年の東京オリンピックと新幹線、1970年の大阪万博…

拘置所  (20世紀少年 第828回)

上巻の152ページ目。時代は現在。場所は東京拘置所と書いてある。この名称の組織・建物は現存する。仕事柄、足立区の北千住や綾瀬に月一二回は行くのだが、東京拘置所は両市の中間点(ただし住所は葛飾区内)の小菅にあり、私はそのすぐそばを常磐線に乗って…

ナショナルキッド物語 【後半】 (20世紀少年 第827回)

前回の続き。このシーンは不審なことだらけなのだ。なぜサダキヨが選ばれたのかに関連して、そもそもなぜ二人の少年は同じお面をかぶっているのだ? サダキヨについては、屋上で宇宙人と交信するにあたり、ナショナルキッドのご利益に預かりたいという大義名…

ナショナルキッド物語 【前半】 (20世紀少年 第826回)

上巻第7話「かくし場所」は、本作品でも屈指の奇妙な場面から始まる。二人のナショナルキッドのご対面シーンだ。お互い「よお。」と軽く挨拶しあった二人の少年は、髪型やお面、半そでシャツと半ズボンと靴、背格好から立ち居振る舞いに至るまでマネというよ…

風船爆弾 (20世紀少年 第825回)

元日早々の実家の朝刊、しかも第一面に「火星移住計画」の記事が出ていて、オランダのNPOが企画、20万人が応募、千人が候補になり日本人も10人含まれている由。これを読んで何となく不愉快になった。特に理由もなく嫌な気分になるときは、日ごろ意識していな…

1970年って言ったら (20世紀少年 第824回)

1970年と言えば既にケンヂのセリフに出てきたように、ジミ・ヘンドリクスとジャニス・ジョプリンが早逝し、ビートルズが解散した年。うちの実家が引っ越した年。よど号にアポロ13号と、空飛ぶ乗り物は不調であった。 この漫画では何と言っても大阪万博の年と…

マネのマネ (20世紀少年 第823回)

マネのマネは上巻第6章のタイトル名にもなっている。140ページ目、万丈目はカレーを一口も食べていない。すきっ腹にウィスキーはいけない。ケンヂは全部平らげてお皿をテーブルに置き、これまでの経緯を整理している。 すなわち、元々「よげんの書」は俺が書…

謹賀新年  (今年も20世紀少年を読む)

あけましておめでとうございます。本年もどうぞ宜しくお付き合いの程お願い申し上げます。2014年になりました。新宿にお立ち寄りの際は、くれぐれも教会にお近づきにならないようご用心ください。 さて。暮れ正月はできるだけ実家で暮らすようにしている。家…