おじさんの雑記帳 

「20世紀少年」の感想文そのほか 寺本匡俊 1960年生 東京在住

2012-01-01から1年間の記事一覧

バトルロイヤル (20世紀少年 第549回)

今回のタイトルは、「バトル・ロワイアル」の誤記ではありません。元になったフランス語は同じ。日本語の発音表記が異なるだけで、意味するところは似たようなものだ。小説・映画の「バトル・ロワイアル」は、最後の一人まで殺し合うという大変、物騒な設定…

最後の貧乏話 【その4】 (20世紀少年 第548回)

最終回の今日は、とっておきのテーマ、便所である。お食事中の方、また、そもそもそういう不潔な話題がお嫌いな方は、絶対に読まないでくださいね。 今の日本の青少年は、発展途上国の田舎に旅行でもしたことがない限り、汲み取り式の便所というものを見たこ…

最後の貧乏話 【その3】 (20世紀少年 第547回)

2回目の今日はエアコンについて語りたい。後日、たまには真面目にエネルギー問題を取り上げてみたいので、その前触れというか、材料にするためでもある。エアコンのない世の中に戻ったら、私は日本では長生きできない。今でさえ気温が下がると必ず風邪を引く…

最後の貧乏話 【その2】 (20世紀少年 第546回)

さて、もう二度と御免こうむるという貧乏体験の第1号は、衣類の「お古」についてです。お古の風習は別に昭和の昔に限らず、今でも同性の兄弟姉妹がいる家では珍しくないだろうし、世界中で行われていることだろうとは思う。 それに、基本的にお古は上の子が…

最後の貧乏話 【その1】 (20世紀少年 第545回)

これから物語は、しばらくの間、サナエやカツオたちが暮すニセモノの昔風の街を離れる。このタイミングで、これまで何度かここで書いてきたように、「昭和は良かった」という鈍感なことを平気でいう風潮に対して反論するための具体例を総ざらいしてみたくな…

五つまでの可愛さでな。 (20世紀少年 第544回)

今年(2012年 )は、ローリング・ストーンズの結成50周年であるとともに、ビートルズのメジャー・デビュー50周年でもあるらしい。ストーンズの半世紀は掛け値なしの壮挙である。ジジイになってもロックをやってる凄い奴らと言えば、ストーンズを措いて他にな…

目の前にワクチンがあって (20世紀少年 第543回)

コンピュータが正確だというのは嘘だな。私のパソコンは過去2回、故障して最後には廃棄。3代目も最近不調である。故障やオーバー・ヒートでどこかの部品が不調になるとまともに作動しなくなり、データを失うなど何度か本当にひどい目に遭った。形あるもの、…

中川くん (20世紀少年 第542回)

草屈という古い言葉がある。「くさかまり」と読みます。広辞苑によると、「くらむらの中にひそみ、敵陣の様子をうかがう者。忍び物見。ふせかまり。くさ。」という説明になっている。忍者モノのフィクションで良く出てくる「草」という言葉は、偵察要員を意…

ワクチン接種の跡 (20世紀少年 第541回)

第16集64ページ目。どうやってここが分かったのかと訊かれ、サナエはゲンジ一派の人にカンナへのメッセージを頼まれたと答えた。カンナの目が光る。メッセージとは、武装蜂起は中止しろ、ゲンジ一派にも氷の女王一派にもスパイが潜入しているというもの。 こ…

カンナの部屋 (20世紀少年 第540回)

サナエとカツオにメッセージを伝えて死んだゲンジ一派の男について、疑問があるので考えてみた。(1)なぜ彼は、氷の女王一派にもスパイが入り込んでいるのを知っていたのか。(2)なぜ彼は、寿楽庵が氷の女王のアジトの入り口であることや、女王へのアク…

ひえひえ (20世紀少年 第539回)

一昨日、ぴんからトリオの宮史郎さんが亡くなられた。お悔やみを申し上げます。「女のみち」はテレビで一番たくさん聴いた曲かもしれない。この歌の作曲者でもあるトリオの一人、今は亡き並木ひろしさんと、むかし一度だけ三重県の桑名でお会いしたことがあ…

遊びの決着 (20世紀少年 第538回)

第16集の後半から第17集の前半にかけては、オッチョが見てきた多くの絶望と、カンナが経験した深い絶望が描かれていて気が重くなる。第2話の「多くのゼツボウ」にはオッチョ、神様、仁谷神父という百戦錬磨の中高年が集まるのだが、やはり皆さん今一つ元気が…

カツオの冒険 (20世紀少年 第537回)

第16集の33ページで別れた姉弟、まずはカツオの冒険譚が始まる。彼が「んしょ。んしょ。」という掛け声で歩いているのは地下の排水路のようだが、神様が残した矢印をどこかで見間違えたのか、道に迷った様子である。梯子が見つかったので、「このへんで上に…

強い男に (20世紀少年 第536回)

さすがにこの歳になると、早朝に目が覚めてもう眠れないということが時々ある。寝床で悶々としているのは精神衛生上、良くないので起きて散歩したり、こうしてブログを書いたりしている。 この時期、ちょうど6時ごろに日が昇る。うちのバルコニーは南東に向…

アケボノバシ (20世紀少年 第535回)

今回は雑談と写真から始めます。オッチョから「Jumpin' Jack Flash」を教わってケンヂはロックにのめりこんだはずなのに、その後あまりストーンズの話題や絵が出てこないのは少しさみしい。わずかに、27歳で死んだロッカーの中に、ブライアン・ジョーンズの…

スペースインベーダー (20世紀少年 第534回)

暇つぶしの楽しみ方の一つに「Human Watching」(人間観察)というのがある。道行く知らない人たちの容貌や服装や言動を観て楽しむというもので、ただし、ジロジロ見続けては失礼にあたるから、服装なら服装とテーマを決めて通りがかりの人々をちらちら眺め…

週刊ポストと号外 (20世紀少年 第533回)

第17集の18ページ、初めて見る電車に感激しているカツオのかたわらで、サナエが持つ懐中電灯が照らし出したのは電車の宙吊り広告であった。週刊ポスト。小学館発行、5月1日号、340円。ちなみに、その右隣の「未来」とか「子」とか書いてあるのは同じく小学館…

似たような姉弟 (20世紀少年 第532回)

第18集の終わり辺りで万丈目はオッチョとカンナに対し、カンナの仲間を連行したのは地球防衛軍だが、その取り調べを管轄するのは自分が統率する親友隊であると、よく分からないことを述べている。第15集において淀橋テレビセンターに初登場した「親友隊」は…

燃える町にあとわずか (20世紀少年 第531回)

第17集の第1話「地球防衛軍」には、その最初と最後に地球防衛軍とやらが登場する。軍服はどうみても科学特捜隊のマネ。軍事演習中に見えるが、「正義という名の虹かかるー♬」などという変な歌が流れている。まさか唄いながら訓練しているのではないと思うが…

クロスタウンター (20世紀少年 第530回)

単行本の各巻には副題があり、第11集は表紙の左下に白い活字で、「クロスカウンター」とある。第11話のタイトル、「十字路の遭遇:クロスカウンター」から採られたものだ。 ここの「クロスタウンター」は、十字路の「クロスロード」と、遭遇の「エンカウンタ…

おもちゃ (20世紀少年 第529回)

第16集も終わりに近づいている。神様は「そろそろ地球も終わりなのか」と独り言のようにいったあとで、「なあ、オッチョよ」と声をかけて質問を始めた。サナエも真剣に聴いているが、カツオはまだコンビーフの缶詰と格闘中。地球の終わりよりも優先度が高い…

20th Century Toy (20世紀少年 第528回)

今日は雑談です。第16集第11話のタイトル名が「オモチャ箱」になっているのは、最後に出てくるオッチョとの会話の中で、神様が「オモチャ」、「オモチャ箱」という言葉を使っているのに由来している。そのオモチャとは、例えばガッツボウルに来る道中でオッ…

予知夢とタイムマシン (20世紀少年 第527回)

神様はちょっと自信をなくしているようにもみえる。「俺が見る夢、人は予知夢なんていうが、くだらん夢ばかりだ。ところが近頃はその夢もとんと見なくなった。俺がボケてきたのか。予知しようにも、その先が何もないのか。そろそろ地球も終わりなのか...」と…

ガッツボウル (20世紀少年 第526回)

オバマ大統領が再選されました。私のアメリカ滞在は5年近く続いたので、その間に1回だけ大統領選があった。1988年、予想どおり共和党が勝って、レーガンからブッシュ父に穏やかに大統領が代わった選挙だったが、昨日は得票ベースでは大接戦だった様子。 一時…

お次は親衛隊か... (20世紀少年 第525回)

サナエとカツオ、そしてオッチョは無事、淀橋テレビセンターに到着した。第16集の186ページ。オッチョの目的は、「タイミングを見計らって降りよう」であり、カツオはテレビに夢中、しかも二人は自分の用件にしか関心がないようで、両方の面倒をみないといけ…

地球防衛軍 (20世紀少年 第524回)

地球防衛軍と聞いて、オッチョは何を思い出したのか。最初のうち私は、この物語において騒動の元になった「ウルティモマン」のバッヂが漫画の設定上「地球防衛軍」のものではないかと思ったのだが(たしか、映画ではそうなっていた)、第22集第10話の絵を見…

オッチョの焦り (20世紀少年 第523回)

この第16集から第17集にかけては、ともだち暦に入った日本において、どれほど陰険な恐怖政治の下で、どれほど人心が荒んでいるかという状況を、ほとんどオッチョ一人で確認して回るかのような内容になっている。気の毒な役回りというほかない。 ぽんこつテレ…

ともだち讃歌 (20世紀少年 第522回)

小学校で教わったある曲の歌詞で、ロビン・フッドとトム・ソーヤの名を知った。原曲はアメリカ民謡と聞いた覚えがあるが、ロビン・フッドはイギリス人だぞ。「一人と一人が腕組めば」で始まる景気の良い歌である。 この曲は替え歌が多いが、ロビン・フッドと…

テレビの人 (20世紀少年 第521回)

村上春樹はデビューしたころから読んでいたといつか書いた覚えがあるが、正確に言うと全部読んでいたのは「ノルウェイの森」まで。なんか違う方向に来たなあと感じて、それからしばらく村上文学から離れ、戻ってきたのは「アンダーグラウンド」からだから、…

お化け煙突 (20世紀少年 第520回)

今日は脱線の日。第16集の164ページ目に、「暑苦しいサイレンだな」と通行人が文句を言っているシーンがあるが、その前の絵に、高い煙突が三本並んでいる絵がある。ここに限らず、”ともだち”が再建した町には煙突が多い。昭和時代の東京の真ん中に工場がたく…