おじさんの雑記帳 

「20世紀少年」の感想文そのほか 寺本匡俊 1960年生 東京在住

2012-07-01から1ヶ月間の記事一覧

これが真実だ (20世紀少年 第426回)

「デコピン」は、まだ現役なのであろうか。初めて「20世紀少年」に出て来たのを読んだときには、昔懐かしいと思ったのが...。今日(2012年7月31日)の朝のニュースによれば、ロンドン・オリンピックの柔道男子73キロ級で銀メダルを獲得した中矢力選手のご母…

ともだちマスク再考 (20世紀少年 第425回)

メキシコ・オリンピックでは祖父とともに、7歳だった私もチャスラフスカを応援したのをよく覚えている。それから間もなく、ソ連は戦車隊を発動して、チェコスロバキアに軍事侵攻した。それをニュースで見た私は「チャスラフスカの国に何をする」とガキのくせ…

こういうことだったんだよ (20世紀少年 第424回)

今日も雑談から始める。数年前に東京都荒川区に転入してきて間もなく、私は四十肩になった。着替えるだけで激痛が走る。四十肩の主な原因は運動不足。高校時代に水泳部だったことから(選手としては最低級)、近所のジムの会員になって水泳を始めることにし…

”絶交” (20世紀少年 第423回)

ロンドン・オリンピックが始まりました。楽しみであります。私は1960年のローマ大会の直後に生まれているので、人生最初のオリンピックは、1964年の東京大会である。たくさんの映像を覚えているが、何分当時はまだ3歳11か月だったので、それが実況中継だった…

いいのか、そんなこと言って (20世紀少年 第422回)

理科室の夜は第16巻にも出てくる。そこには日が暮れる前のフクベエたち行動も描かれているので、該当部分だけ先に少し読みたい。第16巻の105ページ、フクベエと山根が理科室にいる。放課後のようだ。そこにナショナル・キッドのお面の少年が来たのだが、その…

人は死んだら”無”になるか (20世紀少年 第421回)

第14巻の162ページ。まず、山根。「すごい」を連発した後、「一回死んで生き返ったんだ」と言う。次は、フクベエ。不審そうに山根を見ていたドンキーに向かって、「証人になれよ」と命ずる。「みんなに言いふらすんだ、この奇跡を」と重ねて命ずる。 第12巻…

ドンキーがその時見たもの (20世紀少年 第420回)

ドンキーがその時見たものは、後になってわかることになる。でも、それがわかった時はもう、事態は取り返しのつかないことになっていた... 第1巻では、おそらくケンヂの回想として、この言葉が出てくる。第14巻にも、ヨシツネがドンキーたちを見守っているシ…

空気ポンプのスイッチ (20世紀少年 第419回)

なぜか気になる水槽のスイッチの話に入ります。まずは第1巻のおさらい。第5話はその名も「理科室の夜」。ドンキーとカツマタ君の話題が出てくる。ヨシツネの証言によれば、カツマタ君の幽霊は、「夜な夜な理科室にバケて出て、解剖してるって話」だったらし…

世田谷のこと (20世紀少年 第418回)

理科室の水槽の「ブクブク」スイッチを誰が入れたのかという問題を先送りにしたままになっている。第14巻の150ページ目で理科室に入ったドンキーは、水槽に近寄ってスイッチを手に取るのだが、「スイッチ入ってる...モンちゃん、ちゃんと電源入れてたんだ」…

三日月の輝く夜に (20世紀少年 第417回)

第14巻の143ページ目、「クカー」と眠っているケンヂ少年の顔をのぞきこんだカンナの眼からこぼれ落ちた涙が、ケンヂの頬に落ちた。風邪熱で熟睡していた少年も目を覚ましてしまう。 ケンヂに誰だと訊かれて(普通、もう少し驚くと思うが)、カンナは昔懐か…

Without You (20世紀少年 第416回)

第14巻の第8話は「過去との邂逅」というタイトルである。ヴァーチャル・アトラクションの場面では、たくさんの過去との邂逅が描かれているのだが、今回のそれはストーリー展開の上で重要というよりも、抒情的な意味において印象的なシーンであるため代表して…

侵入者が続々 (20世紀少年 第415回)

第14巻の第7話は、ずっと前の77ページで「エンジニアの彼」が、「カンナさん、ちょっと見てください」と言っている場面の続き。外の端末から何者かが、ヴァーチャル・アトラクション(VA)に侵入してきたというのだ(念のため、勝手に侵入しているのはヨシツ…

雨の中華街 (20世紀少年 第414回)

第14巻の119ページ目、レインコート姿のユキジが雨の中、携帯電話片手に怖い顔で「だめだわ、つながらない」と呟いている場面が出てくる。彼女が話そうとした相手はカンナだったのだが、このとき命綱関係で取り込み中だったカンナはケータイどころではなかっ…

夜の廊下にいたのは誰か? (20世紀少年 第413回)

前々回で挙げた疑問点三つのうち、前回までに(1)の5人目についての検討を終えたので、今回は(2)のドンキーが校舎の廊下で気配を察した相手は誰かという問題に取り組みます。今回は(1)と比べて、まだしも自信を持っても良さそうな感じなので、結論か…

5人目は誰か?  【後半】 (20世紀少年 第412回)

前回に続く。ここでは、少し(というより、かなり)苦しいけれど、第1巻はモンちゃんの記憶が若干あやふやな様子であるため、とりあえず横に措いておき、これに対して第14巻は、ヴァーチャル・アトラクションとはいえ事実どおりであるとして、コンチが気付い…

5人目は誰か?  【前半】 (20世紀少年 第411回)

6年生の理科室の夜の出来事は、第1巻のモンちゃんの思い出話と、第14巻のヴァーチャル・アトラクションに詳しい。前者は遠い昔の記憶であり、後者は仮想現実だから細部に違いがあるのは仕方ないとして、両者には明確にして興味深い共通点と相違点がある。 す…

怪談 カツマタ君 (20世紀少年 第410回)

オバケなんかいないよとドンキーに諭されたのに、モンちゃんたち3人はオバケの話をしながら歩いている。追跡しながら、その話を聴いてコイズミは「ホ、ホントの話?」と怯えているのだが、ヨシツネは「わからん。とにかく、あの頃の僕達はよくあんな話をして…

オバケなんかいないよ (20世紀少年 第409回)

和英辞典で「マンガ」を引くと、"cartoon"や"comic"などが出てくるのだが、やはり似て非なるものらしく、最近はすっかり"manga"も世界共通語になりつつあるらしい。情報が古くて恐縮だが、20年前に米国で暮らしていたころ、雑誌や新聞で見るマンガっぽいもの…

”ともだち”の嘘について (20世紀少年 第408回)

第14巻の107ページ目。喫茶さんふらんしすこのマスターと談笑する中年の万丈目の後ろで、ソファ席に座り、新聞で顔を隠してコソコソしているのは老年の万丈目であった。会話を盗み聞きしていたようで、金のなる木を見つけたと中年が言った時点で、「やはり、…

また逢う日まで (20世紀少年 第407回)

第14巻第6話のタイトルは「スプーン曲げの男」。またしても、私の苦手なスプーン曲げのシーンが出てくる。最初に登場するのは公衆電話。カラーならば赤い色をしているはず。おそらくこの当時は、10円玉しか入らなかったはずだ。だから長距離電話のときは、た…

高須の驚き (20世紀少年 第406回)

第14巻の84ページ目、雨が降っている。第一議員会館の一室で、白い粉を机の上に放り出したまま、バーチャル・アトラクションのヘッド・ギアを付けて、どこかに行ったままの万丈目を見下ろしながら、高須が呆れ顔で、今はせいぜい”ともだち”との思い出にひた…

万丈目の驚き (20世紀少年 第405回)

バーチャル・アトラクション(VA)の中でヨシツネに使命が下ったころ、ともだちランド内のVA操作室において、異変が察知されている。エンジニアの彼によれば、外の端末から何者かがVA内に侵入し、しかも凄いスピードでヨシツネとコイズミに近づきつつある。 …

うん モンちゃん 元気だ (20世紀少年 第404回)

第14巻での粋な計らいといえば、モンちゃんとドンキーの登場である。私たちは死者とおしゃべりすることができない。さすがに半世紀以上も生きているので、親しかった友や可愛がってくれた親戚を何人も亡くしている。写真やメールが残っているから偲ぶことも…

神永社長 (20世紀少年 第403回)

ヨシツネの頭の中が、ようやく整理されてきた。確かに自分は1971年の夏に、このボウリング場に来ている。ところが、コイズミは「ともだちの嘘」が仕組まれた1971年夏のヴァーチャル・アトラクションで、同じ場所に草っぱらと秘密基地を見た。ステージが違う…

ピンボールの魔術師 (20世紀少年 第402回)

ボウリングは1971年に大ブームだったのにもかかわらず、ヨシツネが一度しか来たことがないと聞いたコイズミは、なぜ一回だけかと理由を尋ねている。ヨシツネの返事は、二転三転する頼りなさ。最初は、料金が高すぎて小遣いが持たないからだと答えて、コイズ…

ボウリングの思い出 (20世紀少年 第401回)

第1巻の174ページに、缶カラに入れることになる成人映画のポスターをヨシツネが壁から剥がすシーンが出て来て、次の175ページに「ボウリング場建設予定地につき立入を禁ず」という看板と、ケンヂの独白らしき「俺達の秘密基地がある原っぱは、ある日、突然、…

ポスター列伝 (20世紀少年 第400回)

ステージ上で右手を挙げて「カンナ、じゃあ行ってくる」と挨拶したヨシツネは、次の瞬間、ヴァーチャル・アトラクション(VA)の中で、雑草の生えた地面に落ちる自らの影を見下ろしていた。コイズミも幸い、同じステージの同じ場所に着いた。彼女は暑いと文…

やっぱり頼りになる (20世紀少年 第399回)

第14巻の第2話は「本当の1971年」。私は小学校5年生だったのだが、ヨシツネと同様、この年の夏休みに何をしていたのか、全く思い出せない。小学校のキャンプに参加したのは確かだが、私生活では何をしていたのやら。安全ならば、ヴァーチャル・アトラクショ…

粛々と進む計画 (20世紀少年 第398回)

第14巻第1話は「追悼式」という題名で、その前半は万丈目と高須の会話、後半は万丈目の醜態が描かれている。万丈目は最早、晩年を迎えていると言ってよかろう。追悼式の会場は、例の国会議事堂を乗っ取って建てられた気色の悪い建物である。名前は第15巻の最…

ブログ元年  (20世紀少年 第397回)

第14巻に入る前に一休み。私の頼りない記憶によると、かつて1997年は「ブログ元年」と呼ばれていたという覚えがある。ちょうど設定上、「20世紀少年」が始まる年でもあるから、読み始めたときにも、それを思い出した。ところが、「ブログ元年」をネットで検…